広間
2019年5月末に誕生したこのお部屋は、当初一点物のドールハウスになる予定でした。
それが、制作中に複数件問い合わせを頂きまして、急遽通常販売用に切り替えた思い出の品です。
欲しい!と言って頂けるのは、制作者として本当に嬉しいです! ありがとうございます。
途中まで二度と作らないつもりで設計図を描いていなかったので、慌ててメモ取りはじめました。笑
掛軸は、またしても愛知県美術館(木村定三コレクション)収蔵のパブリックドメイン作品を利用させて頂きました。
幸野楳嶺 『南天鵯図』
南天は「難を転ずる」に通じるので、縁起が良さそうです。赤味があると畳の部屋には映えますしね。お気に入りです。
襖のデザインは表と裏で違うんですが、床の間側(表?)の三日月に扇面ちらしの図がすごくお気に入りです。可愛くないですか?と自画自賛!笑
階段はオプションだったんですが、皆さんお庭を自作して下って、それはもう大変有効活用して下さって嬉しい限りです!
実はこの部屋も、千枝さん
twitter.comのアトリエに展示して頂いています。しかも!!!千枝さん作のすんばらしいお庭とともに!
本当にすごいです……!
本当に! 立川に行ける方は行って実物を見てみて下さい!! わたしも生で拝見したいです…! そしてミシンの使い方を教えて頂きたいです……。
この広間で苦労したことと言えば、そりゃもう御簾(と欄間)ですよ!
欄間の方は、デザインで悩みました。
最終的に七宝透かし紋(?)に落ち着きましたが、ここに至るまでに紆余曲折がありました。
そもそもわたしの知ってる欄間って凹凸があるんですよ。
でもスチレンボードを彫る技術は持っていないし、肉付け(重ね張り)する幅(厚み)もないし…と悩みに悩んでの幾何学模様となりました。
結果として、光の透かし具合が素敵とたくさん褒めていただけで良かったです。
そして欄間よりも大変だったのが御簾です。広間のお値段が可愛くないのは、広い(二部屋分)からというのもありますが、大半が御簾のせいです。半端なく時間と手間がかかるので……。
でも夏の広間に御簾がなけりゃ風情もなにも作った甲斐がないので、心を無にして頑張りました。頑張りました……。
話は変わりますが、これを作りながら、本当に日本の家屋っていうのは夏を基準に作ってるんだなーとしみじみ思いました。
洋間を作ってる時は、「壁」なんですよね。
でも和室を作ってると、「柱」なんですよ。
これが石造りと木造建築の違いでしょうか。
さてこれは夏用の広間ですが、秋冬用はどうしようか今から楽しみです。
だってね!
「香炉峰の雪いかならむ」